世界を変えた10冊の本
池上 彰 (著)
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各書籍の要約とインパクト
1章「アンネの日記」
1人の少女の日記が、国際社会に大きなインパクトを与えた。
アラブ人が多数居住する地パレスチナにユダヤ人国家であるイスラエルが建国された。
国連が、「ユダヤ人」と「アラブ人」の国を分割することを採択。
反対するアラブ人との度々の戦争を経て、イスラエルは、パレスチナ全域を占有。
アラブ諸国以外の国際社会が、イスラエルに対して強い態度を取らない。
第2次世界対戦中に、ナチスドイツに600万人もの犠牲者を出していることを知っているため。その象徴が、ユダヤ人であることを理由に命を絶たれた1人の少女が書き残した日記。
ユダヤ人が弾圧される中、オランダ、次にイギリスに亡命。満足に外も出歩けない生活の中で、「隠れ家」で書き残した日記。日常生活、恋、母親に対する怒りなど、書き残されている。
ユダヤ人が迫害される理由は、「新約聖書」の「マタイによる福音書」によると、
ユダヤ教の改革運動をした、イエスを、「十字架につけろ」「その血の責任は、我々と子孫にある」と。ヨーロッパのキリスト教徒は、強い態度に出ることも。
中世ヨーロッパでは、金貸しは卑しい職業だと差別され、ユダヤ人が職に就かされていたが、勤勉に働くユダヤ人は、金融業で成功。貧しいキリスト教徒からますます嫌われるという構図に。
2章「聖書」
世界で最も読まれた本。唯一の神によって世界が創造された「一神教」
新約聖書は、キリスト教徒の聖典。イエス・キリストが誕生し、神との新たな契約が結ばれたと考える教徒が、イエス・キリストの言行などをまとめた書籍。
旧約聖書は、冒頭の5つの書を「律法(トゥーラー)」と呼ぶ。
神の教えを守って生活しようとする。この思想と行動の支えになるもの。
ユダヤ人がエジプトで奴隷として働かされていた。
神がモーセを指導者に選び、エジプトからの脱出を手助けする(出エジプト)。
脱出する途中で、神はユダヤ人に対して、守るべき「十戒」を授ける。
住む土地として「カナンの地」を与える。これが、ユダヤの民との神の契約。
イエスはユダヤ人として生まれたが、ユダヤ教の改革運動を始め、一部のユダヤ教徒
の怒りを買い、十字架にかけられ、殺害される。
ユダヤ教は、「救世主」思想がある。世界の終わりが来る前に、救世主がこの世に遣わされ、人々を救う。イエスこそ救世主と考える人々がいて、生前に語った言葉を広めようとした。この宗教運動がやがて、キリスト教と呼ばれた。広める為に聖典が必要な為、新約聖書が誕生した。
3章「コーラン」
イスラム教徒の聖典。神は人々を救う為に、預言者に言葉を授ける。ムハンマドを預言者に選び、最後との神の言葉伝えた。天使ガブリエルが神の言葉を伝達。
イスラム教も、世界の終わりが来ると信じられ、世界の終わりに一人一人裁きを受ける。天国か、地獄か。聖戦(ジハード)で死んだ人は、すぐに天国に行けると信じられている。戦いは、迎え撃つのみを許されている。
4章「プロテスタンティズムの精神と資本主義」マックス・ウェーバー
宗教が、経済に大きな影響を与えていると分析。
プロテスタントが勤勉である。
それ以前に、東方正教会が誕生しているため、三つの宗派あり。
資本家、教養の高い上層社員 にプロテスタント的な性格の強い人々が多数を占めている。プロテスタントは、家庭内の私的生活から、職業的な公的な生活の行動に規律を伴うものであった。
「資本主義の精神」とは?
体現者、アメリカのベンジャミン・フランクリン。
アメリカ100ドル札の肖像画。
あらゆる無邪気な享楽を厳しく退けて、ひたすら金を儲けることを考える。これが純粋な自己目的として考えられる。利益を獲得することが人生の目的と考えられる。
物質的欲求を充足する手段としては考えられていない。
この考えが経済発展に寄与。仕事が生きる為に不可欠なものとなった。
神から与えられた使命(天職)という観念が、プロテスタントが主流の国の言葉にあった。反対にカトリックが主流の国にはなかった。
カトリックは、聖職者のみが聖典を読むことを許されるなど特権を認めてたい。
教皇の方針を激しく批判し、聖書の翻訳などによって、一般市民の普及に伴い、プロテスタントも発足、発展。
神は全能であり、あらかじめ世界の全てを決めている。ある者には永遠の生命を与え、
ある者には永遠の死を与える。
カトリックは善行によって、死後天国に行けるとされていたが、
予定説ではあらかじめ決まっていると。自分が選ばれている者と不安になりながらも、信じることを絶対の義務とし、自己確信を強める為に、職業労働に休み無く従事することが教え込まれた。
強欲の資本主義の精神が、プロテスタントの倫理から生まれ、今では宗教的な意味も奪われ、純粋な競争の情熱に結びついている。
5章「資本論」カール・マルクス
資本主義がなぜ非人道的な経済体制であることを説いた。
ロシア革命を引き起こした。東西冷戦が終わり、ソ連の崩壊後、社会主義の体制の限界が明らかになっていたが、リーマンショックをきっかけに再注目が集まる結果となった。理論の根本は、労働価値説、つまり労働が価値の源泉であると。
商品は使用価値と、交換価値がある。
商品は、使用価値または財を、抽象的に人間の労働を受肉しているからこそ価値があると。使用価値ではなく、抽象的な富を唯一の動機であるかぎり、資本家であり、目的は、利潤の休みなき運動である。
余剰価値とは、労働者を雇い、働かさせた場合の、資本家の儲けです。
絶対的余剰価値とは、労働時間外の残業による余剰価値。相対的余剰価値は、労働者の給与を下げることで発生した余剰価値。
資本家の激しい競争によって、無秩序な生産が恐慌を生み、労働者は生活に困窮する。
労働者は、他人との団結の仕方を学び、やがて革命を起こし、資本家を転覆させる。
6章 イスラーム原理主義の「道しるべ」
オサマ・ビンラディンの教本となった。イスラム教を極端に解釈した理論書が、サイイド・クトゥブ著の「道標」。主権は人に属さず、神に属する考え。
唯一神アッラーのみに服従すべきだが、人々は何らかの形で他人を崇拝している。
「無明社会(ジャーヒリーヤ)」であり、ジハードの対象である。
7章「沈黙の春」
世界が環境問題に取り組むきっかけに。
殺虫剤の影響で、植物も、生物も育たない春、沈黙の春が来てしまうという。
8章の「種の起源」
キリスト教の根底を覆した。
9章 ケインズ経済学「雇用、利子および貨幣の一般理論」
資本主義の限界を、政府の介入、不景気時に支出を増やすなどで対応。